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Dukas: 交響的スケルツォ『魔法使いの弟子』

こちらも クラシック曲 Advent Calendar 2015 - Adventar の記事です.お気に入りのクラシック曲を紹介します.


交響的スケルツォ魔法使いの弟子』(L'Apprenti sorcier, scherzo symphonique)は1897年に Paul Dukas が作曲した管弦楽曲で,Goethe による同名のバラード(物語詩)を原典としています.交響詩魔法使いの弟子』と呼ばれたり,副題として『ゲーテのバラードによるスケルツォ*1と付いたりすることもあります.

スケルツォは3拍子の快活な曲のことで,通例ソナタ交響曲の第3楽章で用いられる形式です.日本語にすると諧謔曲と言い,諧謔(かいぎゃく)とはユーモアのきいた洒落や冗談のことです.Dukas は9拍子を好んだそうで,この曲もそうです.

物語ではまず,魔法使いの弟子が留守番中,勝手に魔法を使って箒に水を汲むよう命じます.すると箒が2本足になって歩き出し,せっせと仕事を始めます.しかし弟子は箒を止める方法を忘れていて,家中が水浸しになっても水汲みをやめさせられません.そこで箒を叩き割るのですが,そのまま2つに分裂して,それぞれがまた同じ仕事を始めてしまうのです.ついに弟子が溺れかけたところで魔法使いが帰ってきて箒の魔法を解き,事なきを得ます.曲の冒頭の幻想的なメロディが魔法を表し,その後の軽快なファゴットが箒の歩く様子を表していると思われます.


Youtubeで見つけました.

この曲は1940年の Walt Disney の短編集 Fantasia におけるアニメーションとしても有名で,私も小学校低学年くらいの頃にVHSで見ていました.おびただしい数の箒が一斉に行進する様子が少し怖かった記憶がありますが,クラシック音楽を聴くようになったきっかけの1つになりました.

Fantasia では1つの短編の中で1組のクラシック曲がテーマになっていて,曲が演奏される中で物語が進行します.全編が Stokowski 指揮の Philadelphia Orchestra による演奏で,おそらく全曲 Stokowski が Fantasia のために編曲したものを演奏しています.


というわけでその Stokowski 版がこちら

https://itunes.apple.com/jp/album/mo-fa-shiino-di-zi-fantajia/id525686823?i=525686852&at=10l8JW&ct=hatenablog
iTunes Storeだとこれです.

L'apprenti Sorcier

L'apprenti Sorcier

そして原曲を Stokowski & Philadelphia Orchestra が演奏したのがこれ.3つとも古い録音で音質もアレなのですが,私が他の音源を持っていないのでご容赦ください.

なんて書いているとまた Fantasia が見たくなってきたので,家でVHSを探してみたら発掘できました.幸いにも再生環境はあるのでもう1度見直そうと思います.後半 Fantasia の話になってしまいましたが,こちらも是非ご覧ください.

ファンタジア (吹替版)

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*1:音楽之友社 編『新音楽辞典 人名』,音楽之友社,1982年,p.349